日本にいる中国人向け新聞『中文導報』 取材&掲載

中文新聞(加工).jpg2009年4月 中文導報
『名医 鍼灸師林暁萍』

現在、日本の各地にたくさんの鍼灸治療院があり、その中には、在日華人(中国人)が経営されている治療院も含まれる。彼らは日本でますます進む高齢化社会、そして日本国民の健康に大きな貢献をしている。最近、我々は大阪の繁華街・梅田にある、とても人気の鍼灸院「林鍼灸院」を訪ね、院長の林暁萍さんにインタビューした。

 

 林院長は、中国東北の沈陽出身。25年前、中国遼寧中医薬大学医学部の卒業、上海中医薬大学大学院の鍼灸医学研究科を修了、大学病院の神経内科に医師、講師として11年間勤務した。その時、臨床医師として患者を治療する傍ら、鍼灸教育にも力を入れた。林院長は、臨床経験と教育経験がとても豊富なベテラン中医師であり、今まで数万人の患者を治療してきた。また、中医師として数え切れない教え子を送り出してきた。来日して十数年になるが、たくさんの教え子が林先生とずっと連絡を取って、一部の教え子は来日し、日本の鍼灸業界でも活躍している。

 13年前、林院長は京都大学に留学していた夫を追って来日。京都府立医科大学での留学を経て、東洋医学専門学校の教員として、中医鍼灸の臨床や教育に力を入れた。同時に日本の鍼灸師資格も取得。来日十数年の間、林院長が日本の東洋医学教育、臨床、研究に努力し続けてきた「日本では東洋医学が西洋医学のようにまだ普及していない。その上、わずか3年間の専門学校の勉強だけで、国家試験を合格した鍼灸師は卒業後に臨床の場が少ない。そのため、本来鍼灸治療対象となる病気や症状への治療経験が乏しく、ほとんどの場合、痛みやしびれといった西洋医学でいう整形外科の対象となる症状に限られているというのが現状です。」と日本の鍼灸現状を語る。林院長は、中国だけではなく、日本でも鍼灸治療を通じて、さまざまな難病、慢性病の治療に成果をあげている。

 最近の例をあげると、坂田さんという中皮種の患者さんは、手術の跡の痛みでたくさんの鎮痛薬を飲んでいた。それでも効果がなく、耐えられない激痛で食欲も出ず、眠れないという状態だった。林先生のたった3回の鍼治療で、痛みが嘘のようになくなった。

 もう一人の鈴木さんという女性患者さんは、20年以上患った過敏性腸症候群で、腹痛、下痢、食欲不振などの症状で入退院を繰り返してきた。林院長の10回ぐらいの治療で、腹痛、下痢などの症状はかなり改善し、飲み続けていた薬も減った。 

 また、妊娠9ヶ月の中島さんは、逆子のため、病院での治療を2週間ほど受けたが、効果がなかった。その時、医者に外回転術という方法で赤ちゃんを回すと言われたが、ある程度リスクがあるとも言われ、なるべく自然な方法で治したいという本人の意思により、林鍼灸院に駆けつけた。林先生の1回の治療で逆子が治り、外から回さなくても大丈夫ということで、中島さん本人、ご主人ともにとても喜んでいた。そして、1ヵ月後には無事自然分娩で元気な女の子を出産した。彼女は喜びの気持ちをこめてすぐ、写真を林先生に送ってきた。このような例がたくさんある。開院間もない林鍼灸院には、患者さんの口コミだけで各地から患者さんが殺到している。

 林院長は、鍼灸治療と同時に、無料で漢方薬の相談、生活指導なども行い、患者さんから厚い信頼と高い評価を得ている。現在、林鍼灸院は最近世界で非常に流行している効果の高い美容鍼も行い、しわ、たるみ、肌の色艶、ダイエットなどにも効果をあげている。

 林院長は、臨床治療と同時に開業している鍼灸師、勤務鍼灸師を対象に技術向上セミナーも行っている。講義を受けた鍼灸師たちは現在、日本の各地で活躍している。関西だけでも2年間で100名前後の鍼灸師が林院長のセミナーに参加した。「とてもわかりやすい」「ここで学んだ技術を、次の日、院で実践してみたら、患者さんに喜ばれた」「講師の治療を受けたら、私自身もよくなりました」などたくさんの喜びの声が寄せられている。林院長が、日本の鍼灸師の技術向上、そして日本全体の中国鍼灸の普及に大きな貢献をしている。

 

最後に林院長より  

 中国では、鍼灸が対象とする病気や症状は薬物治療と同じようにほとんどすべての診療科に及んでいます。それに、それぞれの病気や症状にもっとも有効と考えられる治療を優先的に行います。そのため、時に応じて、病院へ行った患者さんへ「鍼灸治療が良いですよ」と勧めたり、逆に、鍼灸治療に来た患者さんに病院での治療を勧めたりします。日本にきて医師の立場だけで患者さんを見ていた時、いつも「もっといい治療ができるはずなのに」という思いがありました。また、鍼灸院で患者さんを診るようになった後も、鍼灸院にこられる患者さんの多くが、今までさまざまな医療で治療を受けてきたにもかかわらず、一向によくなっていないという事実を目の当たりにしました。もっと早く鍼灸治療を受けていたら、あるいは最初から鍼灸院に来ていたら、きっと彼らはすぐに治っていたはずなのに…。

 実は、鍼灸治療をファースト・チョイスしたほうが治りやすい病気というのは、たくさんあります。にも、かかわらず、適していない治療法を選んだために、かえって病気をこじらせてしまっている人がたくさんいらっしゃいます。それは、患者さんへの情報が少ないことと鍼灸師の知識・技術不足も大きな原因です。ただ、日本と中国の医療制度には違いがあるため、一概に比較することはできませんが・・・。でも、鍼灸治療をもっとポピュラーなものにして、人が病気になったとき、「病院に行って薬の治療を受けるか」それとも「鍼灸治療を受けるか」そんな選択肢が広まる社会にしたいと私はいつも思っています。

 私も中国で培った11年間の大学病院・臨床経験と日本鍼灸・臨床実情をあわせて、内臓疾患や婦人疾患、美容領域含め、さまざまな分野で治療をしていきたいと思っています。また、これから患者さんが、自分でどの治療がいいのかしっかりと選べるような環境を作ってあげることにも、力を注いでがんばっていこうと思います。よろしくお願いしますね。
皆様のお越しをお待ちしております。