当鍼灸治療院には、生理痛、不妊症と同じ、子宮内膜症の患者が大勢に通院しています。
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはそれと似た組織が子宮内腔以外の部位に発生し、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激を受けて増殖する疾患です。卵巣内で増殖すると、毎月、卵巣にチョコレート状になった古い血液がたまって大きくふくれ、いわゆるチョコレート嚢胞を形成します。
|症状は
☆三大症状
①月経困難症・・・月経が来る度に腹部が激しい痛み、進行するにつれ痛みが激しくなる特徴がある
②月経時以外の痛み(骨盤痛)・・・腰痛、下腹部痛、性交痛、排卵期の腹痛、排便痛
③不妊症
そういった症状を放っておくと、日常生活に支障をきたすことがあります。我慢せずに、早期治療をするようにしましょう。
鍼灸治療の適応症の中で、婦人科疾患治療は当院の最も得意な治療の一つに挙げられます。ここでは、子宮内膜症の原因・治療方法などについて、西洋医学と東洋医学のそれぞれの考え方を紹介します。
| 西洋医学では
西洋医学では子宮内膜症の主な原因は子宮内膜移植説と体腔上皮化生説の2つがあるます。
子宮内膜移植説は、卵管を経て逆流した月経血中にある子宮内膜細胞が腹腔内に到達し、腹腔面に生着するという説です。ただし、この説では、なぜすべての女性に子宮内膜症が発症しないのかという疑問が残ります。
体腔上皮化生説は、腹膜がエストロゲンや月経血の刺激を受け、子宮内膜組織のように変化して子宮内膜症が発生するというものです。
子宮内膜症は生殖年齢にある女性の10〜15%に存在するといわれていますが、とくに最近増えています。その理由としては、腹腔鏡検査が進み診断能力が向上して病気が見つかるようになっていること、初婚年齢・初産年齢が上がっていること、出産回数の減少などが指摘されています。
|西洋医学の治療法
西洋医学では、薬物療法と手術療法がありますが、いずれを選択するかは、症状の種類、程度、進行度、年齢、子供をつくる希望の有無などを総合的に考慮して決めます。
薬物療法としては、月経時だけ鎮痛薬を服用する対症療法があります。また中長期的には経口避妊薬による偽妊娠療法があります。最近、ジエノゲストという黄体ホルモン製剤によるホルモン療法が導入されました。
いずれにしても薬物療法は根治的なものではないため、治療終了後は再発・再燃をみることが多くなっています。そこで手術療法と組み合わせたり、副作用の違いを考慮しながら交互に用いているのが現状です。
手術療法は、病巣だけを摘出して子宮や卵巣を温存する保存療法と、子宮・卵巣を摘出する根治手術があります。後者は、子供を希望しない患者さんに限られます。最近は、腹式手術以外に腹腔鏡下手術が行われるようになりました。
|中医学では
中医学では子宮内膜症が生理痛と不妊症の範囲に属していると考えている。月経が来る度に腹部が激しい痛み、性交痛、排卵期の腹痛、腰痛などもおこる場合があります。
月経痛と同じ、子宮内膜症の主な原因は、気血の運行がスムーズに出来ないことにあります。血は身体のすみずみまで栄養や酸素を運び、また老廃物を排泄する大切な役割を担っています。血液の流れが悪くなり、それに伴うさまざまな不快な症状が現れることを「お血(おけつ)」と呼びますが、血によって子宮に繋がる胞脈を阻止し、「不通即痛」(つまると痛みが出てくる)すると痛みを生じる。
☆子宮内膜症のタイプ☆
寒湿タイプ…月経前・月経中に小腹部の冷痛・拒按(押えることを拒み)を感じる方は、このタイプです。温めてあげることにより痛みの軽減をすることができます。
また、経血量は少なく、色は黒く、血の塊が混じることがあります。
肝鬱気滞タイプ…月経前・月経中の小腹部の脹痛・拒按を感じ、経血量が少なく、血の塊が混じる方は、このタイプです。
胸脇部や乳房の脹満感を感じたり、イライラと怒りっぽいくなることがあります。
「お血」タイプ・・・痛みが激しくなるうえ、その痛みが移動しない、ある部位に固定する。生理中ですとお腹や腰などの痛みはだんだん強くなってきます。
| 中医学の治療法
治療法則としては行気・活血・止痛です。
すなわち、中医学の理論を基に行う鍼灸治療は、気の流れと血の流れを改善し、痛み症状の緩和や予防が期待できます。さらに、自律神経やホルモンのバランスも整えることにより、妊娠しやすい体質を作ることも可能です。
また、鍼灸治療は副作用の心配も少なく、体質全体を改善していけるので、何よりも安心して治療を継続していけるのです。
Posted by 鍼灸ニュース on Apr 29, 2020 7:00:00 AM
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