|中国医学では
副鼻腔炎を鼻淵といいます。鼻閉、多量の鼻汁、嗅覚減退を主症とする病証です。
中国古典の『内経』には「脳漏」「脳滲」の記載がある。本病証は虚と実の2種類に分ける。
実証は、感冒が長く治らないために、肺熱が鬱蒸して、鼻竅に影響し、または肝胆火盛で邪熱が上炎するためにおこるものが多い。
虚証は肺、脾の虚損により、痰濁が生じ肺系の清粛機能に影響するとおこるものが多い。
|病因では
◎肺気虚による鼻淵
カゼの繰り返しやその他の慢性疾患により肺気を損傷し、肺気が不足していると、その治節機能が低下して清陽不昇、濁陰不降となり濁陰が鼻竅に停滞すると鼻淵が起こる。
◎脾気虚による鼻淵
飲食不節や過労、思慮過度などにより脾胃を損傷し、そのために気血の生成が不足し、清陽が頭や顔面部に昇らず、鼻が気血の栄養を充分に受けられなくなる。または脾気虚弱、運化失調により湿濁が生じ、経絡に沿って鼻竅に凝集すると鼻淵がおこる。
◎肝胆の鬱熱による鼻淵
情志失調により肝気鬱結になる、この肝鬱が化熱するものもある。胆経経気は脳に上通し、その支絡は鼻傍に至るので、肝胆の鬱熱が経絡に沿って脳を犯し、鼻に影響すると鼻淵が起こる。
◎脾経の湿盛による鼻淵
平素から甘いものや油っこいものを偏食していると体内に湿熱がこもりやすく、この湿熱は脾胃に影響しやすいという特徴がある。このために脾の運化機能が悪くなり、清気が昇らず濁陰が降りなくなり、湿熱が陽明経脈にそって鼻に影響すると鼻淵が起こる。
|タイプ別の症状
◎肺気虚寒タイプ
主 症:鼻汁は白く粘く量が多い、鼻閉は時に軽く時に重い、嗅覚減退、寒 冷刺激や風邪引くことにより鼻閉・鼻汁は増悪
随伴症:寒がり、四肢の冷え、息切れ、自汗、咳嗽、痰が出る、風邪に引き やすい
舌脈象:舌質淡、舌苔薄白、脈緩
◎脾虚湿盛タイプ
主 症:鼻汁は白で粘く、量は多い、強い鼻閉、嗅覚減退、頭重感
随伴症:全身倦怠、食欲不振、腹脹、軟便、ときに悪心、嘔吐、下肢に浮腫がおこる
舌脈象:舌質淡、舌苔白滑、脈緩弱
◎肺経鬱熱タイプ
主 症:鼻汁は黄色で粘く臭い、鼻閉、前額部・顴部の脹痛
随伴症:咳嗽、痰は黄色で粘い、または発熱、悪寒
舌脈象:舌質紅、舌苔微黄、脈数
◎肝胆火盛タイプ
主 症:鼻汁は黄・粘・濁・臭・多である、鼻閉、嗅覚減退或は喪失、片頭痛
随伴症:発熱、口苦、咽頭部の乾き、目眩、耳鳴り、耳聾、睡眠は少なく多夢、煩躁
舌脈象:舌質紅、舌苔黄、脈弦数
|当院の鍼灸治療では
◎肺気虚寒タイプ
治療原則:温補肺気、散寒通竅(肺気を補い、宣発粛降機能を改善し、降濁を促し、通竅と止涕をはかる。)
鍼灸取穴:上星、印堂、迎香、合谷、風池、太淵、肺兪
◎脾虚湿盛タイプ
治療原則:健脾利湿、化濁通竅 (脾の働きを強め、湿を除去し、昇清降濁を促進して通竅止涕をはかる。)
鍼灸取穴:上星、印堂、迎香、合谷、風池、足三里、陰陵泉、脾兪 、豊隆
◎肺経鬱熱タイプ
治療原則:疏風清熱、宣肺通竅(風邪の宣散と肺経の清熱をはかり、肺の宣 降を改善して鼻を通竅する。)
鍼灸取穴:上星、印堂、迎香、合谷、風池、尺沢、列缺
◎肝胆火盛タイプ
治療原則:清肝瀉熱、利胆通竅(肝の鬱熱を清瀉し、胆を清利して鼻の通竅と止涕をはかる)
鍼灸選穴:上星、印堂、迎香、合谷、風池、行間、足臨泣
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